コラーゲン今日は”コラーゲン”に関するご質問を頂きましたのでその紹介です。きっと皆さんも疑問に思っていることと思います。 ではご質問の文面から * * * * * * * * * * * * コラーゲンペプチドのサプリを摂っているんですが 「吸収されない」「効果がない」という話を聞きました。 自分がネットで調べたところ下のようなのですが、 実際のところどうなんですか? よろしければご教授ください。 1、コラーゲンは三重らせん構造のため通常の消化酵素では分解できない 2、熱によって変成したコラーゲンペプチドなら分解できる 3、分解されても体内で再びコラーゲンに生成されるとは限らない。 4、コラーゲンを含む健康食品の有用性は科学的検討が不十分 5、食品類をバランスよく摂っていれば体内で合成することができるので、 健康食品で補う意義は乏しい * * * * * * * * * * * * なるほどなるほど。 こういうご質問も多いですね。 昔、某製薬会社医薬品担当の学術部長(薬剤師)も 「コラーゲンが吸収されるわけないだろう!!」 と言い放っていたのを覚えています。 当然です。 構造式を見ると、明らかに吸収される代物ではありません。 ではコラーゲンの謎に迫ってみたいと思います! Q1.コラーゲンの働きは? A1.美肌効果が有名です。皮膚のアンチエイジング(抗加齢)効果、 骨粗鬆症の予防と改善、変形性関節症の予防などがあります。 Q2.コラーゲンは身体のなかにあるのですか? A2.コラーゲンは人間はもちろん、あらゆる動物に存在するタンパク質。 人間の場合、全体の20%がタンパク質で出来ているのですが、 コラーゲンはその内の約1/3を占め、身体のあらゆる場所に存在します。 骨、軟骨、皮膚、腱、歯、血管壁などに多く分布しており、 細胞の間を埋めるように存在し、結合組織の主な構成成分なんです。 若い頃は沢山身体の中にあるのですが、 30歳台をピークに40歳代から急激に減少すると言われています。 但し、1年中紫外線を浴びている顔の皮膚のコラーゲンは、 20歳台から減りはじめてしまうことも言われています。 Q3.コラーゲンの構造はどんなものなんですか? A3.コラーゲン分子は沢山のアミノ酸が結合して、 長い鎖のように繋がった構造をしています。 そして1本づつ存在するのではなく、3本が集まりらせんを描くように 強固に集まっているのです。 電気のコードみたいなイメージです。 そりゃ、簡単に吸収されそうには見えませんよね。 Q4.コラーゲンの効果があったとするデータはあるのですか? A4.人数の多い試験ではありませんが、 20~50人程度の2重盲検比較試験*)において、 皮膚の乾燥・柔軟性や滑らかさの改善が認められた。 皮膚コラーゲン量が増加した。とするデータがあります。 その他、関節炎や骨粗鬆症の症状改善が見られたとの報告もあります。 *)2重盲検比較試験: サプリ摂取群とプラセボ(何の効果もない)摂取群の2群で試験します。 (サプリ群だけだど本当にサプリの効果だったのかかわからないからです) そして、医者も患者もどれがサプリ群かプラセボ群がわからないまま、 摂取を促すものです。 (医者も知ってると効きますからと暗に思わせる口調になったり、 患者さんも”これはサプリだ”と思って飲むのと、”ただの粉だ”と 思って飲むのでは結果が違ってきますよね。) ですのでこの試験方法は信頼性のある方法と言われています。 Q5.コラーゲンの年齢による効果の違いはある? A5.やはり体内の減少が激しい40歳代以降は、 結果がでるまでに時間がかかるようです。 20歳代・30歳代では2週間摂取で肌の柔軟性が向上したのに、 40歳代・50歳代では5週間後で効果が現れはじめた。 なんてデータもあるので、効果を実感できるまでの時間は 年齢を重ねるごとに長くなってしまうようです。 Q5.コラーゲンはどうやって吸収されるの? A5.コラーゲンがコラーゲンペプチド(コラーゲンがもう少し細かくなったもの) に分解され、さらに細かいアミノ酸になって吸収されると考えられます。 分解されて細かくなったアミノ酸が、 はたしてコラーゲンとしての効果を発揮するのか?(あやしい。。。) そこに疑問をもつ人が多いのです。 しかし最近の研究で、コラーゲン摂取により、 体内のコラーゲン合成が活発になることがわかっているのです。 その詳細なメカニズムはまだわからない部分も多いのですが、 分解された後のアミノ酸が”コラーゲンを再び作れ”って シグナルを出しているのかもしれません。 コラーゲン摂取により、皮膚コラーゲン量が増加した、 皮膚の乾燥・柔軟性や滑らかさの改善が認められた結果からも、 しっかりと体内コラーゲン量に変化を与えていることは確かなようです。 さて如何でしたでしょうか? 上記のような臨床試験結果(データ)もあるのですが、 まだまだ「データ不十分」という解釈ができるのも確かです。 「何百人、何千人のデータがないとね」と言われれば、 確かにその方がいいに決まっています。 今回のデータを見ると「データが十分とも言えないが、不十分とも言えない」 って感じでしょうか。(すいません、科学的に言うと回りくどくなるんですよ。。。) またコラーゲンを食べれば体内でコラーゲンが出来やすくなるのですから 食べ物からの摂取も心がけたいところです。 でも食べ物となると、牛スジ、軟骨、鶏皮、魚皮、フカヒレなどなど。。。。 なかなか毎日の摂取は難しく、カロリーも気になるところです。 サプリメントなどで補うこともよい方法といえますね。 そして私の周りでも”コラーゲンで肌の調子が良くなった”という声が多いのも確か。 皆さんは体感されたことありますか? @@@@@@@@@@ その後コラーゲンについて、こんなご質問を頂きました。 ***** ご質問 ****** 初めてお便りします。 ぶしつけな質問ですが、お許し下さい。 私は製薬会社に勤務しているもので、 今、現在、日本ニュートリション協会で サプリメントアドバイザーの勉強をしています。 コラーゲンを摂取した後、 コラーゲンが増加したという報告を紹介していますね。 そして、摂取されたアミノ酸が コラーゲン合成を刺激しているという仮説を出されていますが、 摂取されたアミノ酸は体内で 他のタンパク質合成にも用いられるだろうし、 分解されたアミノ酸がコラーゲン由来で、 身体はどのようにして コラーゲン合成指令を認識するのでしょうか。 コラーゲンは特殊のアミノ酸に偏ったタンパク質ですから、 それらを含まないアミノ酸を摂取しても コラーゲン合成に繋がらないでしょうが、 例えばコラーゲンに限らず、 コラーゲン特有のアミノ酸は言うまでもなく、 他の必須アミノ酸も含めて総合的に摂取した場合には、 コラーゲンが増える事はないのでしょうか。 コラーゲンと十分量のアミノ酸を摂取した場合とを 比較した報告のようなものはあるでしょうか。 皮膚からの吸収に関しては、 塗布するコラーゲンのアミノ酸に標識をつけて、 皮膚からの浸透が起こり、 皮膚コラーゲンの形成に寄与したという実験を 行うことができるように思いますが、 そうした実験は行われていないのでしょうか。 ***** ご質問以上 ****** コラーゲンは分子が大きいのでそのままでは吸収されないのです。 しかし実際は体内のコラーゲン量が増えた!肌がプルプルになった! なんていう結果も出ていて、 一体どうやって吸収されているのか? というのがもっぱらの疑問点な訳です。 コラーゲンはコラーゲンペプチド(コラーゲンが分かれて細かくなったもの) に分解され、さらに細かいアミノ酸になって吸収されると考えられます。 この分解されたコラーゲンペプチドやアミノ酸が、 ”コラーゲンを再び作れ”ってシグナルを出しているようなのです。 ということを書いて、上記のご質問を頂きました。 もちろんもとのコラーゲンが、 すっかりバラバラのアミノ酸の状態ではなく、 もう少し大きいコラーゲンペプチドの状態でも吸収されるので、 身体は「この切れ端はコラーゲンが分解されたってことだな! じゃ~新しいコラーゲンを作らなくちゃ~~」 とコラーゲン合成指令を出しているかもしれないのです。 (とコラーゲン研究者の藤本大三郎先生もおっしゃってました) とはいえ、まだまだそのメカニズムは未解明。 今後もしかしたらもっと具体的に解明されるかもしれません。 そして「必須アミノ酸など十分摂ったら コラーゲンも増えるのでは?」とのご質問でしたが、 コラーゲンを摂取した時の皮膚のコラーゲン量が、 何も摂っていない時と比べてどうなのか? コラーゲンじゃなくてアミノ酸を摂った時と比べてどうなのか? を比較した実験をしたデータがありました。 人間ではなかなか皮膚中の全てのコラーゲン量を 採取して測定することは難しいので、 ここではラットのデータです。 皮膚中のコラーゲン量は 何も摂っていない群 < アミノ酸群 < コラーゲン群 という結果でした。 アミノ酸を摂取してもコラーゲン量は増加しました(有意差あり)。 でもコラーゲンを摂取すると、 もっと皮膚中のコラーゲン量は上がるのですね。 (Bio Industry, 2001;18(4):11-14) ということで、 やはりコラーゲンを摂れば、一度分解されても、 しっかりと体内でコラーゲンが出来るのですね。 さてプルプル肌を目指して コラーゲンで美肌対策しましょうか~ (2008.08.01) |